ウソツキ忍者の独断と偏見に基づく感想・考察

読んだ本や、見たアニメについての感想

比較優位説は成り立たない―――『反・自由貿易論』

自由貿易への批判。 著者は中野剛志。 新潮新書。 2013年。 軽くメモする程度に書く。 比較優位論には基本となる定理がある。 それはヘクシャー=オリーンの定理というもので、「生産要素(資本と労働)の比率を考えたとき、各国が潜在的に抱えているこの比…

デモクラシー、エリート、大衆、メディア、宗教―――『学問』を読んで③

119のキーワードから政治や歴史や道徳などについて考えた本。 著者は西部邁(評論家)。 講談社。 2004年第1刷。 デモクラシー エリート 大衆 メディア 宗教 デモクラシー デモクラシーの意味は「多数参加の下での多数決制」という集団的意思の決定方式とい…

議会、憲法、権威、コミュニティ―――『学問』を読んで②

119のキーワードから政治や歴史や道徳などについて考えた本。 著者は西部邁(評論家)。 講談社。 2004年第1刷。 政治を問う 議会 憲法 権威 コミュニティ 政治を問う 議会 民主主義は(略)「もし可能ならば」、(略)「直接民主主義」の方向に傾きがちであ…

政治・権利・義務・官僚制・自治―――『学問』を読んで①

119のキーワードから政治や歴史や道徳などについて考えた本。 著者は西部邁(評論家)。 講談社。 2004年第1刷。 政治を問う 政治 権利 義務 官僚制 自治 政治を問う 政治 それは、政治の本質が未来の不確実性は向けての決断という点にあることからくるもの…

共生と性―――『ミトコンドリアの謎』を読んで

ミトコンドリアの発見や機能や構造について書かれた本。 著者は河野重行(分子細胞学者)。 講談社現代新書。 1999年第1刷。 ミトコンドリアについて ミトコンドリアの特徴 ミトコンドリアの形状 ミトコンドリアの構造 外呼吸と内呼吸 呼吸によって作られる…

ヒトをモノとして扱う時代―――『モノ・サピエンス』を読んで③

人間が物質化・単一化している現代社会について書かれた本。 著者は岡本裕一朗(哲学・倫理学者)。 光文社新書。 2006年第1刷。 「モノ化」する人間 「モノ化」する思考 「モノ化」する社会 「人間の尊厳」の終焉 「モノ化」する人間 「モノ化」する思考 著…

ヒトをモノとして扱う時代―――『モノ・サピエンス』を読んで②

人間が物質化・単一化している現代社会について書かれた本。 著者は岡本裕一朗(哲学・倫理学者)。 光文社新書。 2006年第1刷。 「モノ化」する人間 「モノ化」する命 「モノ化」する遺伝子 「モノ化」する人間 「モノ化」する命 体外受精(試験管ベビー)…

ヒトをモノとして扱う時代―――『モノ・サピエンス』を読んで①

人間が物質化・単一化している現代社会について書かれた本。 著者は岡本裕一朗(哲学・倫理学者)。 光文社新書。 2006年第1刷。 「モノ化」する人間 「モノ化」とは 「超消費社会」ではモノは使い捨てられる 「モノ化」する体 「モノ化」する労働 「モノ化…

神聖な処刑から忌むべき刑罰へ―――『刑吏の社会史』を読んで

中世ヨーロッパの影である刑吏などの賤民の生活に踏み込んだ本。 著者は阿部謹也(歴史学者)。 中公新書。 1978年初版。 賤民 名誉を持たない人々 出産と埋葬 特権 神聖な儀式から賤民の仕事へ 処刑は神聖な儀式 血縁者による復讐 転換についての諸説 刑罰…

身体感覚に関する知的雑談―――『話せばわかる!』を読んで

養老孟司と16人の知識人・文化人の対談本。 著者は養老孟司(解剖学者)、他16名。 清流出版。 2003年第1刷。 身体感覚の変化 種の分類と系統関係 イルカの交信 身体表現の重要性 人間とは歩く動物である 風土と身体感覚 イメージの固さ 作品と作者の分離 忘…

多層的な現実を見直すために―――『「子どもの目」からの発想』を読んで

児童文学の分析を通して人間の心の奥深さに接近を試みた本。 著者は河合隼雄(深層心理学者)。 講談社+α文庫。 2000年第1刷。 児童文学 子供のための読み物ではない 二重の意味 うそつきでいたずら者でも大切 抜き書き 児童文学 子供のための読み物ではな…

戦時と平時と国際法―――『国民のための戦争と平和の法』を読んで②

国連や国際法、そして戦争と平和について書かれた本。 著者は小室直樹(法学博士)と色摩力夫(元外務省官僚)。 総合法令。 1993年初版。 警察と軍隊 国家権力の内部での位置づけ 権限の規定 活動の目的 任務の基本的性質 自衛隊の問題 国連の本質 ポイント…

国連幻想と戦争―――『国民のための戦争と平和の法』を読んで①

国連や国際法、そして戦争と平和について書かれた本。 著者は小室直樹(法学博士)と色摩力夫(元外務省官僚)。 総合法令。 1993年初版。 国際連合 国連のエッセンス ハマーショルドの6原則 国際連盟と国際連合は違う 安全保障理事会と拒否権 平和主義者が…

物理学の発展―――『人物で語る物理入門(下)』を読んで

物理学に寄与してきた人物を取り上げながら科学の発展を見ていく本。 著者は米沢富美子(理学博士)。 岩波新書。 2005年第1刷。 一般相対性理論 マックス・プランク(1858~1947) 光電効果 ブラウン運動 ジャン・ぺラン マリアン・フォン・スモルコフスキ…

物理学の発展―――『人物で語る物理入門(上)』を読んで

物理学に寄与してきた人物を取り上げながら科学の発展を見ていく本。 著者は米沢富美子(理学博士)。 岩波新書。 2005年第1刷。 近代科学へ向けて タレス(前580頃盛年) ピタゴラス(前570頃~前498頃) デモクリトス(前460頃~前370頃) プラトン(前428…

文法、弁証法、無意識、欲望―――『思考の用語辞典』を読んで⑥

哲学に関する100の概念の内容を説明している本。 著者は中山元(哲学者・翻訳家)。 ちくま学芸文庫。 2007年第1刷。 文法 弁証法 無意識 欲望 文法 グランマは「文字」というギリシア語だ。 ここからグランマティケー・テクネ―「文字についての技術」できた…

生きるために死ぬ?―――『アポトーシスとは何か』を読んで

遺伝子にプログラムされた細胞の自死についての本。 著者は田沼靖一(薬学博士)。 講談社現代新書。 1996年第1刷。 1.細胞の自殺(アポトーシス)とは 1.簡単にいうと 2.アポトーシス 3.ネクローシス 4.アポビオーシス 2.細胞の自殺(アポトーシス)にどん…

よく誤用されるあの画像―――寛容のパラドックスについて

今回は本ではなく、何となく気になって考えたことについて書いていく。 題材は「寛容のパラドックス」だ。 1.先に結論から 2.「例の画像」と実際にポパーが述べた内容との比較 1.ネット上で拾った画像 2.ポパーの主張 3.比較検討 3.不寛容な者達に対して 1.…

存在、他者、超越、独我論、表象―――『思考の用語辞典』を読んで⑤

哲学に関する100の概念の内容を説明している本。 著者は中山元(哲学者・翻訳家)。 ちくま学芸文庫。 2007年第1刷。 存在 他者 超越 独我論 表象 存在 パルメニデスは、「存在するものだけがあり、無はない。そして、あるものについてしか考えることはでき…

中国人の行動規範―――『小室直樹の中国言論』を読んで

中国人の行動規範を分析した本。 著者は小室直樹(法学博士)。 徳間書店。 1996年、第1刷。 帮(ほう)、帮会(パンフェ) 帮の内の関係 帮の外の関係 どうやって帮を形成するのか 帮以外の人間関係 宗族 宗族とは 姓と苗字 かつては母系制だった? 異姓養…

大衆が官僚制を要請している?―――『官僚の反逆』を読んで

官僚批判が実は官僚制の強化を(無自覚に)推進していたことを指摘した本。 著者は中野剛志(経済産業省の官僚)。 幻冬舎新書。 2012年、第1刷。 外圧を引き込む 官僚の大衆化 官僚の非人間化は「美徳」である 成果主義は官僚化を要請する 回転ドア方式が官…

世界・責任・贈与・疎外と物象化―――『思考の用語辞典』を読んで④

哲学に関する100の概念の内容を説明している本。 著者は中山元(哲学者・翻訳家)。 ちくま学芸文庫。 2007年第1刷。 世界 責任 贈与 疎外と物象化 世界 カントは『人間学』で、世界(Welt)とは人間が認識できる総体だと考えた。 つまり、世界の限界は、人…

「手書き」の魅力とは?―――『「書」を書く愉しみ』を読んで

「書」の魅力について書かれた本。 著者は武田双雲(書道家)。 光文社新書。 2004年、第1刷。 1.書くことについて 2.うまい字 1.下手な人にも分かる「うまい」字 2.「字が上手い競争」 3.「下手な字競争」 3.よい字 1.「うまさ」ではなく「よさ」 2.「臨書…

生物時計とは?―――『時間の分子生物学』を読んで

生物時計の仕組みを遺伝子などの分子レベルで分析した本。 著者は粂和彦(分子生物学者)。 講談社現代新書。 2003年、第1刷。 1.共通の生物時計 2.サーカディアン・リズム(概日周期) 3.生物時計の4条件 1.自律的に動くこと 2.外から調整できること 3.周期…

言語・消費・審級・身体・真理―――『思考の用語辞典』を読んで③

哲学に関する100の概念の内容を説明している本。 著者は中山元(哲学者・翻訳家)。 ちくま学芸文庫。 2007年第1刷。 言語 消費 審級 身体 真理 言語 言語がほんとうに哲学の問題になってきたのは最近の事らしい。 それまで、言語は「思考の正確さをそこねな…

仏教、イスラム教、儒教―――『日本人のための宗教原論』を読んで②

宗教学的な視点からキリスト教、イスラム教、仏教などを中心に分析した本。 著者は小室直樹(法学博士)。 徳間書店。 2000年第1刷。 仏教 実体はない 仏教哲学の解説書 唯識 罪と輪廻転生 空は理解しにくい ミリンダ王の問い 縁起=因果、因縁=原因 ナーガ…

宗教のアウトラインとキリスト教―――『日本人のための宗教原論』を読んで①

宗教学的な視点からキリスト教、イスラム教、仏教などを中心に分析した本。 著者は小室直樹(法学博士)。 徳間書店。 2000年第1刷。 宗教の定義 アウトライン 啓典宗教と非啓典宗教 個人救済と集団救済 天国と地獄 終末論 規範の一致 神の命令のみに生きる…

価値・還元・換喩・狂気・空間―――『思考の用語辞典』を読んで②

哲学に関する100の概念の内容を説明している本。 著者は中山元(哲学者・翻訳家)。 ちくま学芸文庫。 2007年第1刷。 価値 還元 換喩 狂気 空間 価値 価値とは何か?と問われたときに、どのように答えればいいだろうか。 価値というような根本概念を説明する…

社会調査に騙されている?―――『「社会調査」のウソ』を読んで

社会調査がどれほど間違っているかを暴いて見せている本。 著者は谷岡一郎(社会学博士)。 文春新書。 平成12年、第1刷。 この本の論点 用語 バイアス 指数と指標 実行定義 いろんなゴミ 歴代大統領の人気 単なる思慮不足 弁明的なごまかし わかった上でわ…

現代文明社会で子供はどう育つ?―――『絵になる子育てなんかない』を読んで

現代文明社会の中での子育てについて考えている本。 著者は養老孟司(解剖学者)と小島慶子(ラジオパーソナリティ)。 幻冬舎。 2011年第1刷。 「子育て」はコントロールできない 胎児は母親の身体の一部なのか 親と子は見ているものが違う 自分を追い詰め…